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サスケ部屋mk2

――だらだらお絵描き。
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>>ディスコミュニケーション。

……という漫画があったんですけど、ご存知でしょうか? って話ではなく(笑)。

「絶対可憐チルドレン」の「逃亡者編」、なんかもーえらいことになってきましたねー。ほとんどこのまま連載が終わってしまいそうな盛り上がりです(笑)。

ヘビーなテーマを内包したエピソードだけに、萌えてるだけのサスケには荷が重く(笑)、あんまり触れてませんでしたが、ちょっとだけ「ディスコミュニケーション」という言葉をキーに、うだうだ考えてみます。

今回はあえて絵を描かずに、いってみましょう(よう描かんともゆー)。
というか、ものごっつい長くなってしまいましたので、「続きを読む」を使うことにします(笑)。気が向いた方だけ、覚悟を決めてどぞー。



「逃亡者(4)」で、とっとこ桃太郎の去就をめぐって、皆本と薫が激しく対立しています。えらいことです。破壊の女王まっしぐら。

印象に残るのは、やっぱりこの台詞でしょうか(サンデーが手元になくなったので、ちょっと不正確かもですが。すみません)。

皆本「これがライオンやトラだったら、お前たちだってしょうがないと思うだろ?」
薫「ちがう! 皆本はノーマルだからそんなことが言えるんだ! 自分がライオンやトラだったことがないから……!」

ここだけ抽出しても、ものすごい食い違い方ですけど、ややこしいのは、食い違い方が多重構造になってること、でしょうか。

もっとも際立つのは、やっぱり超能力者(エスパー)と普通人(ノーマル)のディスコミュニケーションです。

エスパーは「ライオンやトラ」の哀しみを背負っている。それはそうなんでしょうけど、でも一方で、(ライオンやトラにやられる)「シマウマ」の気持ちはわからないのかもしれない、という気がします。もちろん、ノーマルたる「シマウマ」には「ライオンやトラ」の気持ちはわからないのです。



ちょっと話がそれますが、「トラ」と言えば、1巻でこんな会話があります。

皆本「腹が立ったら殺していいのか? え? お前はなんだ? 野生のトラか何かか?」
薫「本当にやったわけじゃないから、いーじゃん」
皆本「本当にやられてたまるかああ――――ッ!」

もちろん、こんなの単なるギャグだけど、今回の「逃亡者編」では、「野生のトラか何か」みたいに「本当にやられて」しまったわけですよね。この小さなコマが伏線だったとしたら……。

「絶チル」では、ギャグひとつ見逃せないです。椎名センセって、こわい。



さて、話を戻しまして。

もうひとつ大きいのは、大人と子供のディスコミュニケーション。

皆本の説得は、全体として「大人の論法」になっています。子供にとっては、冷たいと感じてしまうかもしれない。一方、薫の言い分は「子供の感傷」的な面がある。大人にとっては、理解はできても許容はしづらいでしょう。
どっちも間違ってるけど、どっちも正しい。でも、問題はそこじゃなくて、ただ単に通じていない、ということです。

この2種のディスコミュニケーションは、物語の当初から内包/提示されてきたものですが、それが一気に火を噴いた感があります。

また、ちょっと無理やりっぽくなりますが、薫と皆本の食い違いは、バベルにおける上司と部下のディスコミュニケーションと捉えることも、できなくはないでしょう。
そして根底には、(未成熟ながら)一組の男女としてのディスコミュニケーションも存在するかもしれない。
家庭として機能してるかどうか怪しい明石家の現状を考えれば、皆本(局長や朧さんを含めてもいいかも?)と薫のディスコミュニケーションは、親子のそれかもしれません。

お仕事からプライベートまで(それこそ「おはようからおやすみまで」)、様々な面で密接な関係を育んでいるだけに、崩れてしまうと逃げ場がなくなってしまう……のかもしれません(友人同士、恋人同士で仕事したりすると、大変なんですにょ?と愚痴・笑)。



それから、エピソード全体を通して見ると、蕾見不二子ちゃんと皆本の間にも、「エスパー・ハンター」を巡っての断絶があります。
もし万が一、(所持を嫌がってた)皆本が「エスパー・ハンター」で桃太郎を撃ってしまい、それが薫との断絶につながったりすれば、責任の多くは不二子に帰することになるでしょう。でも、もっと深い意図が隠されているような気もします。じゃあ、それはなにか? よくわからない。これもひとつのディスコミュニケーションと言えるかもしれません。

もちろん、桃太郎と人間との間にもディスコミュニケーションが存在します。これはもう、説明不要でしょう。

てな感じで、さまざまなディスコミュニケーションが錯綜し、渦巻いていることが、解決へ向かう道を見えづらくしているのだろう、と思ったりしました。それだけに、物語としてはおもしろいわけですけど。



今回のエピソードでは、「ザ・ハウンド」の明がすごく光ったと思います。
まず、桃太郎の攻撃を食らったこと。そして、能力でシンクロした際に、その哀しみを感じ取ったこと。

あっちもこっちも通じない、ディスコミュニケーションの嵐が吹き荒れる中、ただ一人、明だけが、コミュニケーションに手をかけようとしている。そこが、他の人たちとの大きな違いだろうと、思いました。てゆか、思いたいです。

……今後に生きてくるのかどうかは、わからないですけども。



なんにせよ、今回の「逃亡者編」は、コミュニケーション云々といった精神的なやりとりがテーマになってると思います。内側に向いてるっていうか。

ポイントポイントでギャグやバトルを織り交ぜつつも、やっぱり、念動能力どっか〜ん♪ パンチラいや〜ん♪ みたいにはなりづらい(お風呂シーンや扉絵に、いいように踊らされつつも・笑)。

次回か次々回あたりで決着がつくのでしょうけど、皆本とチルドレンが仲直りするにせよ決裂するにせよ、いずれにしても、少年漫画らしいカタルシスを感じるようなものには、ならなさそうな気がします。

もしかすると、青年漫画あるいは少女漫画なら、このくらいのテーマは意外とさらりと流せるんじゃないかなーって気もしなくはないです。あるいは、もっと踏み込むことも可能でしょう。

それを、あえて(?)少年漫画の文法、少年漫画の絵で提示しているあたりが、あるいは、幼女パンチラ漫画(笑)であるあたりが、もしかしたら、作品としてのディスコミュニケーションかもしれない、と思ったりします。

個人的には、すっっっっっっっごく興味深く楽しく面白く読んでるんだけど、一般的な人気がどうなるのか(特に今までとの違いが)、ちょっぴり気になるところではありますね。ツボにはまれば、デカそうな気がするんだけど、さてどうでしょうか。

皆本やチルドレンの、そして「絶対可憐チルドレン」という作品の、はたまた椎名センセの明日はどっちだ!?(適当なオチ)



蛇足ですが、「ディスコミュニケーション」というのは、「相互不理解」といったほどの意味です。が、実はこれは和製英語です。知ってた? 私は……ひ・み・つ(笑)。

実際の英語の場合には、「コミュニケーション・ギャップ(communication gap)」てなことを言うらしいですね。ネイティブな方とのディスコミュニケーションには、十分ご注意くださいまし(適当なサゲ)。
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