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眼鏡? 外さへんよ?
―――だって、アンタの顔、
みえへんようになってしまうやん、
「だから、アンタも眼鏡を外さないでウチを見て・・・」
葵はそう言って手を伸ばすと、自分の眼鏡に手をかけようとした男の手をそっと止めた。
男の目の前に横たわるのは生まれたままの自分。
その姿を男の胸に刻もうと、葵はずっと前から心に決めていた。
―――そう、これは今夜だけの・・・
男は諦めた様に己にかけられた眼鏡から手を離した。
彼は葵の真剣な眼差しを真っ向から見つめ返す。
男の目には真っ赤に染まる葵の肢体が映し出されていた。
「葵・・・」
その真剣な眼差しに気圧されたように、男は僅かばかり視線をずらす。
自分には彼女の気持ちを理解できないとでも言うように。
男の心の動きが分かったのか、彼の目には葵の顔色が青ざめた様に映った。
「お前、ソコまでして・・・」
男は知らず知らず追いつめてしまった葵の心を想像し、やりきれないように頭を振った。
かけられたメガネが揺れ、彼の視界は青と赤に目まぐるしく彩られる。
その二色で縁取られているであろう葵のバストに、男の目からゆっくりと涙が流れ落ちた。
了
―― オ マ ケ ――
挿し絵:サスケ
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