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作:aki |
〜横島side〜「ふぁ〜。あー、怠い…」 気怠い朝。身体を起こすのに苦労しながらも洗面所へと向かう。 いつものように歯を磨いて顔を洗うためだ。 でも今朝は何時にない、しかし最近ようやく見慣れてきた風景が、そこにあった。 「おふぁようごふぁいまふ」 彼女は歯磨きをしながらそう声をかけてきた。 マイカップと、マイ歯ブラシを手にしながら、もごもごと話す様が妙に似合っている。 それにしても、彼女の歯ブラシが俺の部屋にある、ただそれだけでも興奮するというのに。 俺のYシャツを羽織るだけのその姿は、朝から見るには眩しすぎる。 なによりも、その笑顔が眩しい。 はにかんだ、やさしい顔。 昔から変わらないようで、最近さらにやさしくなったようで。 もしかしたら、変わったのは俺なのかも知れないけれど。 しばし呆然としてから、ようやく口から出た言葉は、気の利かない挨拶だけで。 「あ、ああ。おはよう、おキヌちゃん」 ああ。眩しい。 微笑みながら、輝きながら。そんなフレーズが頭をよぎる。 この笑顔を得る為に流した血は如何ばかりか。 あの時の折檻を思い出しそうになり、あわてて他へと目を移す。 …顔から目を離せば、吸い込まれるように、その胸の谷間へと視線が動いてしまう。 最近特に豊かになったようにも、昔からだったようにも思える、その谷間。 そこがいつの間にか桜色に染まっていく。 ふと気がついて視線を上げてみれば、彼女は顔を赤く染めながら、急いで口を灌いで シャツのボタンを閉めてしまった。 今更とも思うが、こうやって恥じらう様子を見ると、なんとも言えない気分になる。 彼女には、笑顔だけじゃなく恥じらう表情も似合うと思う。 それは誰にも渡さない、俺だけの秘密だ。 ああ、幸せやなあ。 こういう朝を迎えられるなんて、俺も出世したもんだ。くぅ〜! そういえば、彼女の視線が何やら気になる。 「もう、横島さんったら…朝から元気ですね」 そう言われて、こちらも視線を下に向けると… 「ああっ、これは違う、違うんやー」 胸…いや、表情に見とれていただけであって。 あるいは男の生理現象?決してやましい事は… ないかな?ないかも知れない。無かったらいいなあ。 「ふふっ、違うんですか?それはそれで、ちょっと残念かも…」 え、それって、つまり? 「あのね。今日はお仕事もお休みじゃないですか。だから…」 そうもじもじする様子を見て、やっとわかった。 「こうなったらもー、いっちゃっても、いいですか?」 手をワキワキさせながらにじり寄ってみても、彼女の笑顔は変わらない。 「…はい♪」 どうやら今日は、このまま太陽を拝めそうにないようだ。 それなら明日の朝日を一緒に見ればいい。 とことん付き合ってもらうよ、おキヌちゃん。 〜おキヌside〜「♪〜♪〜♪」 気持ちいい朝。 歯を磨きながら鼻歌を歌いたくなるくらい、気持ちいい朝。 彼よりも先に起きて、歯を磨く。 今朝は何を作ろうかしら。そんなことを思いながら。 すると、後ろから足音が近づいてきた。 「おはようございます」 歯磨きしながら話しかけるなんて、ちょっと下品だったかしら。 一瞬不安になったけれど、彼なら、そんなつまらない事で幻滅などしない。 そう思い直した。 彼の部屋で。 彼と一緒に。 幸せな朝を迎える。 ずっと望んでいた朝が、いまここにある。 彼の顔を見つめながら、幸せな思いに浸る。 それでも歯を磨く手は止めないのは、ちょっと変かしら? 「あ、ああ。おはよう、おキヌちゃん」 彼からの挨拶。 いつもよりちょっとだけ緊張した挨拶。 でも、二人っきりで、彼の部屋で聞く私だけへ向けられた挨拶は、とても嬉しい。 ふと彼の視線を辿れば、私の胸に向けられている。 シャツのボタン、留めてなかったのね。 急に恥ずかしくなって、慌てて口を濯いでボタンを留めた。 今更、とも思う。 お互いに全てさらけ出しているのに。 彼には、全て捧げているのに。 それでも恥ずかしくなってしまうのは何故? 特に、彼の生理現象を見るのは恥ずかしい。 それでも見つめてしまう私も、彼と同じでえっちなのかな? 「もう、横島さんったら…朝から元気ですね」 それでも、こんな事を言えるようになった私は変わったかしら。 「ああっ、これは違う、違うんやー」 いつも通りの彼の様子。 彼の慌てる姿は、とても可愛らしいものだと思う。 こういう関係になって、ようやく気がついた。 逆に、こちらが余裕を持てるくらいに。 「ふふっ、違うんですか?それはそれで、ちょっと残念かも…」 こんな大胆な誘いすら、言えるようになった。 それとも、もっと大胆な方が好みかしら? 「あのね。今日はお仕事もお休みじゃないですか。だから…」 きゃー。言っちゃった。 さすがに、恥ずかしい。身体が動いてしまう。 「こうなったらもー、いっちゃっても、いいですか?」 彼が、変な手つきで近づいてくる。 それも彼なりの照れ隠し。 なら、こちらは堂々と受けるだけ。 「…はい♪」 このまま、彼と溶け合って。お腹が空いてからご飯を作ろう。 朝ご飯よりも、お互いを貪る。こんな形の幸せがあってもいい。 今はまだ言えないけれど… 私に幸せの楔を打ち込んだ貴方。責任は取ってくださいね? 挿し絵:サスケ |
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